あまりさんののっぴきならない事情

 息子の方の扱いはずいぶん悪いな、と思っていると、母親は階段を下りてきながら、
「それにしても相変わらず、仲がいいわね。
 さすが……」
と言いかけ、何処かに行ってしまう。

 さすがなんなんですか、お母さんっ。

 さすが実の親子ね、じゃないだろうな、と怯えながら、行ってしまう母親を見送っていると、遥真も同じように見送っていた。

 ずっと母親の後ろ姿を見ている彼に、

 ちょっと待て。
 どういう意味の視線だ、それはっ、と問いかけそうになったとき、遥真がこちらを振り向いた。

「よしっ。
 近々、そのお前の彼女とやらが居るカフェに行ってみようっ」
と言い出す。

 こっちはこっちで、ちょっと待てーっ!