あまりさんののっぴきならない事情

 女給ってな、と思っていると、
「写真はあるのか、見せてみろ」
と言ってくる。

 迷ったが、断ったら、父親に余計なことをペラペラしゃべりそうだな、と思って、スマホにあった見合い写真を見せた。

「ほうほう。
 可愛いじゃないか。

 これで女給さんか」

 カフェの店員だっつーのに、と思っていると、
「モテるだろうなあ」
とまだ写真を見ながら、遥真は言ってくる。

「……そうなのか?」
と訊くと、

「だって、可愛いじゃないか。
 近寄りがたいほど綺麗とかいうんでもないし」
と言う。

 てめーと思っていると、
「カフェの店員とか、話しかけやすいだろ。
 いろいろ切っ掛けもあるし」
と言ってくるので、外に出そうとしていたあの箱入り娘をまた箱につめたくなった。

「で?」
と遥真は笑いながら、スマホを返してくる。

「結局、この子と付き合ってるわけか?」