日曜日、海里もなんとなく実家に帰ってみていた。
あまりとの見合いの話はなかったことになっているはずだが、あのあと、父親とあまりの父は会って話したりしているのだろうかとちょっと気になったからだ。
すると、広い玄関ロビーの湾曲している階段の下に何処かで見た男が立っていた。
「海里、元気か?」
父の年の離れた弟、遥真(はるま)だ。
一応、叔父ではあるが、自分との方が年が近いし、顔も似ている。
実は母親が、この叔父と浮気して自分が出来たんじゃないかと思うくらい似ている。
遥真は、笑いながら、
「見合いする前に見合い相手に振られたと聞いたが、元気か」
と余計な言葉を付け足してきた。
誰だ、余計なことをしゃべりやがったのは、と思いながら、
「振られてない」
と言い返す。
「へー、そうなのか」
軽い調子で訊いてくるので、つい、あまりのことを少し話してしまった。
「ほほう。
彼女はお前が嫌で家を飛び出して、カフェの女給さんを」
「お前はなに時代の人間だ……」



