あまりさんののっぴきならない事情

 そんなことを考えていると、寺坂が、
「女性はあまりガンガン押して行き過ぎると引いてしまうらしいですよ、支社長」
と言ってくる。

「……そうだな」
と頷いた。

 二人でなんとなく小声になる。

 出社していないはずの秋月がその辺で聞いていて、ひひひ、と笑っていそうな気がしたからだ。

 不器用な寺坂と自分と、探り探り進んで行っている感じだ。

 っていうか、寺坂はともかく、俺は今までこんなことはかなったんだがな、と海里はひとり、溜息をついた。