あまりさんののっぴきならない事情

 




 戻ってくると、海里は、ぼんやり外の緑を眺めていた。

 ……絵になる人だな。

 写真の向こうに居るのを眺めているのが一番平和だった気がしているが、と思いながら、あまりは、
「はい」
と海里の前に皿を置く。

 いつの間にか、あまりの皿に、オムレツが切って置いてあった。

 ちょっと笑い、
「はい」
とスクランブルエッグを少し海里の皿にあげる。

「いや、いい。
 お前、食え」
と言った海里は、こちらを振り向き、

「今日はカフェは休みだったよな?」
と訊いてきた。

「はい。
 土日は学生のアルバイトさんがいらっしゃるので、私はお休みです」

 いいですよねえ、とあまりは呟く。

「高校生の子も居るんですよ。
 私もああいう素敵なカフェでバイトする高校生とかになってみたかったです。

 うちはバイトとか禁止だったので」

「そうか。
 俺は今日も適当な時間に会社を覗くが。

 明日は休みなんだ。
 お前、明日は――」