あまりさんののっぴきならない事情

 うーん、とグラスを手に唸っていると、また、たいして減っていないそれに酒をそそがれる。

 つがれた酒はすべて呑み干せという父親の、それ、女子に対しての教育としては、どうなんだという言葉に従い、全部頂いた。

 その教えがあったからこそ、秋月の酒もすべて呑んでしまって、あのような事態になってしまったのだが。

 女子としては、可憐に結構です、というべきだったか。

 まあ、おそらく秋月が許すまいが。

「でも、人間って、格好いいとこより、駄目なとこを見たときの方が、より深くキュンと来るような気がするんですよねー」

「そうか。
 じゃあ、俺はお前にべた惚れなはずだな」

 どういう意味だろうな、と思いながら、次の酒もいただいた。