あまりさんののっぴきならない事情

「でも、信じられないといえば、貴方とこうしていることがまず、信じられません。
 貴方の写真を見せられたときには、どんな罠がと思ったものですが」

「なんだ罠って……」

 またおかしなことを言い出したぞ、という目で見られる。

「だって、おかしいじゃないですか。
 びっくりするようなイケメンで、お金持ちで、いい学校出てて、ちゃんと仕事してて。

 そんな人が、なんで私なんかと見合いしようとするんですか」

「いや、俺が見合いしようとしたわけじゃないけどな……」

「絶対、彼女とか愛人とか、二号さんとか、恋人とか、初恋の人とかいっぱい居るのに」

「重複している上に、関係ないのも混ざってるぞ」

「貴方のような人がわざわざ見合い結婚する意味がわかりません。

 ああそうだ。
 きっとなにかまずい相手とかと付き合っていて、私を隠れ蓑にしようとしてるんだと思いました」

「……そのときから、妄想炸裂してたんだな」

 お前の人生、半分以上、妄想だろうと言われる。

 それを言うなら、貴方の存在こそが妄想だ、と思っていた。

 こんな理想通りの人が居るわけないからだ。