あまりさんののっぴきならない事情





 よし、オッケー。
 こんなもんかな。

 和室に鏡がなかったので、窓ガラスに映して、あまりは浴衣と茶羽織を確認する。

 いいな、この色。
 可愛い可愛い。

 よしよし、と髪もアップにして、障子を開けると、渋い茶系の茶羽織と浴衣を着た海里がソファに座って新聞を読んでいた。

 それが海里の落ち着いた表情によく似合っている。

 えーっ。
 格好いい。

 なんか良く本屋さんにある高くて立派な雑誌に出てる人みたい。

 そして、はた、と気づいた。

 いやいやいや。
 危険だ、危険。

 見合い相手だと初めて写真を見せられたときに危惧していたのと同じ状況になりつつある。

「か、海里さん」
と呼びかけると、海里はチラとこちらを見た。

「あの、支度できました」

 海里は新聞を閉じ、そうか、と立ち上がった。

 最近には珍しくカードキーではない鍵をひとつくれながら、
「じゃあ、行くか」
と言って、こちらを見ずに出て行ってしまう。