あまりさんののっぴきならない事情

「じゃあ、一緒に行くか。
 お前迷いそうだし」

 はいっ、と言って、あ、鞄は置いていってもいいんだよね。

 途中お土産物見るかもしれないし、お金少し持っていって、財布は金庫に入れた方がいいかな? とキョロキョロ見回していると、海里が、

「……着ないのか?」
と言ってきた。

 は? なにをですか? と顔を上げる。

「浴衣に着替えた方が脱ぎ着が楽なんじゃないのか?」

「あー、そうですね。
 でも、別にいいような」
とは言いかけたが、黒い籠の中に入れてあった浴衣は、最近よくある、選べる色浴衣とかではなかったが、結構可愛かったので、

「あ、やっぱり着替えます。
 まだ時間大丈夫ですか?」
と訊くと、

「そのくらい大丈夫だ」
と言われた。

 結構ギリギリな時間に飛び込みで入ったので、到着してから、夕食までの時間が短く、ちょっと心配だったのだ。

「あっ、じゃあ、着替えてきますね」
とその浴衣の籠を手に、あまりは小さな和室に入っていった。