あまりさんののっぴきならない事情

 我ながら、この金額は社会人としてどうだろう、と思いながら、
「カ、カードで」
と震える手で海里にカードを差し出す。

 海里はチラとそれを見たが、
「使えないそうだぞ」
と素っ気なく言ってくる。

 いやいやいやいや。
 確かに、老舗の店とかでは、たまにそういうこともありますけどっ。

 此処、中、相当近代的ですけどっ?

「別にいいじゃないか。
 此処はベッドじゃなくて、布団みたいだぞ」
と言う。

 見ると、少し台が高くなっているところが、御所か? というような御簾で囲まれており、今は巻き上げられているそこに、ふかふかの布団が並べて敷いてあった。

「おまえが気になるのなら、俺はあっちに布団敷いて寝るから」
と障子の向こうの和室を見て言ってくる。

「えっ。
 じゃあ、私がそちらに行きますから、海里さんは此処で」
と言ってしまい、これだと、なんだかもうこの部屋に泊まることを承諾したようだ、と思っていると、案の定、海里は、

「夕食まで風呂にでも入るか。
 大浴場に行くか?

 部屋に露天もあるが」
と話を進めてくる。