あまりさんののっぴきならない事情

「総務は女が多いせいかよく揉めるんだ」
と海里は愚痴のように言う。

「秘書も桜田になる前は揉めてたな。
 前任者と秋月さんが同じタイプの人で」

 ああ……とあまりは苦笑いする。

 世話焼きタイプが二人では揉めるだろう。

「だからって、桜田さんが二人とかいうのも困る気がしますね」
と言うと、

「二人で物陰から見てそうだな……」
と言われ、あははと笑う。

 そんなあまりの顔を見て、呆れてるんだかなんだかわからない口調で、海里が言ってくる。

「……お前はいつも平和だな。
 ところで、なんで、エスペラント語を学ぼうと思った?」

「いや、それが、世界共通言語だと聞いたので。
 それ一個しゃべれたら、他の言葉は覚えなくていいかなと思って、勉強してみたんですが。

 なかなか使ってくれる人、居なくてですね」

 かえって余計な労力を使ってしまった気分です、と呟くと、
「なんかお前の人生、象徴してるな」
と言われてしまった。