あまりさんののっぴきならない事情

「こんばんは……はエスペラント語だからわかるんだな。

 貴方、エスペラント語が話せるんですね。
 私の友人も学んでいます。

 私は挨拶しか出来ませんけど。

 世界共通言語として考えられたのに、学ぶ人が少なく、寂しいことですね、と言っているぞ」
と訳してやると、

「そ、そうですか。
 今、咄嗟に、フランス語が話せず、フランス人は英語がお嫌いだと聞いたので、ちょっと使ってみました」
と言っておいて、

「あ、此処は訳さなくていいです。
 お気を悪くされてはいけないので」
と言う。

「実は私も決まった例文しか話せません、とお伝えください」

 丸投げなあまりに、お前、ほんとに第二外国語、フランス語だったのか? と思いながら、そのまま伝え、またあまりに返した。

「言ってみてくれ、と笑っているぞ」
と言うと、

「いや……笑っているのは私にもわかります」
とパトリックを見ながら言ったあとで、

「Mi estas nacio de japanio.
 Ĉu mi bezonas nur monpunon? 」
とあまりは言った。