あまりさんののっぴきならない事情

 



 何故、私は此処に連れてこられているのでしょうか。

 私用だって言ったくせに~。

 駅を出た海里は、そのまま同じ系列の会社を訪れた。

「お前、秘書だってことにしといたからな」
と言われたので、一緒に会議室に連れて行かれてしまったあまりは秘書らしい顔をして話を聞いていた。

 海里に言ったら、秘書らしい顔ってなんだ? と言われることだろうが。

 どうも海外のスーパーが日本でチェーン展開を目論んでいるようで、その一号店の話らしい。

 アウトレットとスーパーの複合店になるようで、かなり郊外に巨大な店舗を作るようなのだ。

 郊外型の大型店舗もかなり厳しくなってるようだけどな、と思いながら、話を聞いていると、やはり、そこのところが問題なようで。

 どうやらフランス人らしい人と、可愛らしい顔をした此処の社員らしい若い人、そして、その上司がなにやら真剣に話していた。

 それにしても、なんでこの話に支社長が首突っ込んでるんだ? と思いながら、わかっているらしい顔をして微笑んでいたが、日本語じゃないので、さっぱり、わかってはいなかった。

 やがて、そのフランス人は支社長たちと握手をして出て行った。