あまりさんののっぴきならない事情

 




 あまりが広げてくれたメニューを仏頂面で眺めながら、海里は全然違うことを考えていた。

 せっかく寛いでいるところに、上役の自分が来るなんて良くないとわかってはいるんだが。

 成田まで来ているというので、結局、気になって来てしまった。

 いやいや、あまりが好きだからとか言うのではないのだが……。

 俺との見合いを断りやがった、こんな女。

 しかも、する前に断るってどういうことだ。

 親父め、どんな写真を見せたんだ、と思っていると、
「決まりました?」
とあまりが訊いてくる。

 初めて会ったときは、こちらの顔を見ただけで、強張っていたあまりだが、今は少し、打ち解けてくれているようにも思える。 

 ……というか、遠慮会釈なく物を言ってきている気が。

 適当に酒を頼み、みんなで呑んでいると、

 ……俺が居ると緊張するとか言っていなかっただろうか?

 既に酔っているところに乱入したせいか。

 みんな自分が居ても、構わず、弾けているようだった。