【完】金曜日は、八神くんのモノ




「ちょっと八神くん…っ!!…っ、」

なにをしてくれるんだと彼の顔を覗くと、先ほどの笑みは一変。


その色素の薄い瞳は涙で潤んでいた。


「先輩…やっぱり教えてくれませんか….?」



ぐっ…。

だ、騙されるなあたし!!これは一昨日も使われた手じゃないの!



「や、でも、その……」

「ダメ、ですか?」


こてん、と八神くんが首を傾げる。

ず、ずるい!!ずるいよ八神くん!その技は反則だよ!


「ダメ、じゃ、ない….です………」


がっくりと項垂れると、八神くんは花の咲くような笑顔で嬉々として言った。


「やった!ありがとうございます」


くっ…やっぱり、やっぱりか!
嘘泣きだろうとは思ってたけど、でも泣き顔に弱いんだもんーーー!



あたしははぁ、とため息を吐いて、目を伏せた。


「しょーもない理由だなとか言って、笑わないでよ」

「笑いませんよ」


…う。本当かなぁ。

まぁ、もう『言う』しか選択肢はないわけだけど。


「今年の…4月かな。あたし、学校行く途中で気分悪くなっちゃって。
それでその時助けてくれたのが、新堂くんだったの」