【完】金曜日は、八神くんのモノ




「き、気持ちって、そんな……」

紅潮した頬を隠そうと視線を落とすけど、頬に手が添えられて、八神くんと目が合う。



ドキドキと心臓が鳴って、次に来る彼の言葉に緊張感が増した。




「ーーねぇ先輩。


俺、ずっと前からあなたのこと…
好き、なんですけど」


「……っ」


視線が絡まって。
静かな教室に、響く。


「う、嘘……!」

「は?」

「だ、だって!
…冗談って、言った………」


眉をひそめる八神くんに、尻すぼみになりながらも告げる。
軽い気持ちだったんだろうって、わかってるけど。
でも、覚えてる。

彼がいつかの日に冗談であたしに好きだと言ったこと。



「あれは…
……間違えたんです」


ぽつりとこぼれた呟きがやけに胸に刺さって、更に俯いた。


ほら、やっぱり。

じわりと視界が滲んで瞼をこすると、八神くんが驚いた顔をしたのち、「ち、違いますよ?!」と声を上げる。


「だってあの時は真琴先輩、新堂先輩のこと好きだったじゃないですか。
だから、あの時言ったってフられるのわかってたのに、…その、先輩が可愛いから、口が滑りました」

「っ、で、でも…!ゆり先生は…?」

「だから叔母ですって」

「ほ、本当にそれだけ…?!」

「本当ですって。なんでそんなに疑うんですか」

「だ、だって体育祭のときとか…。放課後図書室でなんかしてた…」