「先輩には、なにもかもお見通しってことですか…」
ノートを受け取って、八神くんはそれを机に置いた後、表紙をそっと撫ぜた。
「順を追って説明すると、まず
ゆり先生は俺の叔母です。」
「えっ?!!」
そ、そうなの…?!
全然知らなかったし、そんな風には…。
それに。
「だって、下の名前で……」
ぽつりとこぼすと、八神くんは驚いた顔で「なんで、知ってるんですか」とあたしを見る。
「なんでって言われても…。新堂くんと出かける前の日、2人でコソコソなんかしてるの見た、から。」
目をそらすと、八神くんはまた、ため息を吐く。
「あぁ…あの時ですか。
ゆり姉は普段から名字だとか『叔母さん』だとか呼ばれるの、嫌いなんです。
だから2人の時は下の名前で呼ぶように言われてたんですけど…」
まさか、見られてたなんて。
そう呟く彼に、あたしはまた問いを重ねる。
「あの時は一体、なにしてたわけ?」
「それは…」
順を追って話します。と、そう告げる彼の言葉に耳を傾ける。
それは余りにも計算深くて。
それでいて、不器用で。
あたしの表情を見て取った八神くんは微笑んで、口を開いた。



