【完】金曜日は、八神くんのモノ





「え……?」


何を、言ってるの。


「仕組む、って…」

「俺さ、実は1年の頃からずっと柊のこと気になってたんだよ。でも、なかなか声がかけられないまま遠目に見て1年終わっちゃって…。
このままじゃ駄目だなって思ってた時に、始業式で柊が運ばれてるのを見て……奪ってやろうと思った」


奪うって、それは……。

「本当は……あの日助けたのは俺じゃないよ。」

「………っ」


嘘ついてたわけじゃないから、謝らないけど。と付け足す新堂くんに、言葉が詰まる。


確かに、そうだけど…。

でも、それなら、体育祭の時の違和感とか、あの時の理彩の言っていたことだって納得がいく。


「じゃあ、あの日あたしを助けてくれたのって……?」

「それは…内緒」

「内緒?」

「そう。秘密だよ」


なんで。そう問うより早く、新堂くんが口を開く。


「だって柊、あの日『俺が助けた』から好きになってくれたんでしょ?それなら、誰が助けたなんて言ったら、その人のこと好きになっちゃうかもしれないから。
……まぁ、どっちにしろ俺が動くのは遅かったみたいだけど」


「……………」



せっかく、両想いだったのにね。と悲しげに微笑む新堂くんに、胸が痛くなる。

………でも、



「もう、本当に好きな人ができたから、聞いたって大丈夫よ。今更だけど、お礼だって言いたいし」

「……!」


新堂くんの目を見て言うと、彼は目を見開いたあと、ふぅ、とため息を吐く。


「あーあ。今度こそフラれちゃった。柊って意外とストレートに言うよね。…委員になった当初は全然喋ってくれなかったけど」

「そ、それは……!」

「でもやっぱり内緒。誰が柊を助けたなんて、そんなの知らなくていいよ」


「なんで……」