【完】金曜日は、八神くんのモノ




思わず退いた足から、がくんと力が抜ける。



「柊っ!」


ーガタタンッ


脚立から落ちたあたしを、すぐさま受け止めてくれて。

それでまた、ばくばくと心臓が跳ね上がる。


「ご、ごめん……」

「全然。気にしないで」


「……ごめん……っ」

「………だから、そんなに謝らなくても大丈夫だって」



ーー違う。そうじゃないこと、新堂だってわかってるくせに。

抱きとめてくれた腕から抜け出そうと肩を押すけど、新堂くんは腕を緩めてはくれなくて。


「…新堂くん」

「ねえ柊、……もう、遅い?」

「っ…」


どうして。そんなこと、言わないでよ。


「…遅い、よ、」

遅いよ。あたしはもう、一歩、踏み出してる。


震えた声で告げると、新堂くんは寂しげに笑って、あたしをとらえていた腕を離した。



「…俺ね。本当は、柊が最初 俺のこと好きなんじゃないかって、気づいてたんだよ」

「なっ……」


降ってきた衝撃的な言葉に顔を上げると、彼はまたふわりと笑んで。




「だってそれは、…俺が仕組んだことだから」