相変わらず誰も利用者のいない図書室に、本を挿し込む音だけがやけに響いて、思考が冷静になる。
…いやあたし、馬鹿じゃない??
いくら理彩に言われたからってあんなあからさまな…。
結局普通に本の整理だしほんと自意識過剰っていうか新堂くんに申し訳ないよ。
ふぅ、と息を吐いて、本のタイトルを確認する。
「……あぁ…」
これ、脚立使わないと届かない段のやつじゃん。
もう片方の手に持っていた本達を机の上に置いて、カウンターの奥にある脚立を取りに行く。
「あ、柊。」
丁度脚立を手にした瞬間、新堂くんがあたしを呼んで。
「何??もしかして、もう時間?」
「いや、そうじゃないんだけど…。本棚の整理も目的だったんだけどさ」
「?」
何の話かと耳を澄ませながら、脚立を本棚の前まで運ぶ。
そのまま上に乗ると、奥の本棚から新堂くんが顔を出した。
その顔がやけに真剣で、あたしは半身を彼に向けたまま、動けなくなる。
「本棚の整理も、そうなんだけど。やっぱり先越される前に言いたいなって思って」
ニコリと笑顔を浮かべて歩いてくる新堂くんに、何故か体が仰け反る。
先を越される、って、誰、に。
それ以前に。
なんとなく、聞いちゃいけない気がする。
特に『今』は。
そう思うのに、体は彼の方を向いたまま。
静かな図書室に予鈴が響くと同時に、新堂くんの唇が動く。
小さい声。だけど、その言葉はチャイムよりも鮮明に、あたしの頭に残って。
「好きだよ………柊。」



