「あれ、柊。帰って来てたんだ」
「新堂くん」
蓋を開けて、上から降って来た声に顔を上げると、新堂くんの複雑な色を灯した瞳と目が合う。
「…八神に、なんか変なこととか言われなかった?」
にこりと笑って尋ねる新堂くんに、一瞬間があったような気がしたけれど、多分気のせいだろうと思い込んで、あたしも笑顔を返す。
「全然!
普段はああいう奴だけど、そんな2人になってまで変なこと言うような人じゃない…と、思うけど」
さっき言われた言葉を思い出したけれど、咄嗟に否定して、言い切る。
「そう?ならいいんだけど……。
それより柊、金曜日に本棚整理があるらしいんだけど、昼休みに来てくれないかって、皆川先生が」
「え?でも本棚ならついこの間……」
新堂くんとの買い物だって、ほんの数日前のことなのに。
「何冊か金曜日に新しい本が届くんだって。
あの先生、絶対整理とかしないから」
「ああ……」
言われて、察した。
確かにゆり先生が仕事してるところなんて、見ないし。
……八神くんの貸し出しカードには、印を押していたけど。
「わかった。ありがとうね」
「ううん、俺こそ邪魔しちゃってごめん」
一瞬理彩へと視線を移した新堂くんに、理彩は「気にしないで〜 なんなら私の方が邪魔?」なんて言って笑う。
それに対して新堂くんは笑みで交わして、そのまま席へと戻って行ってしまった。



