【完】金曜日は、八神くんのモノ





うつむいて、来た道を全速力で引き返す。

途中ですれ違った人達が振り向くのも気にならないくらい。


ズキズキと胸が痛んで、唇を噛んだ。


普通傷つくのはあたしのはずなのに、最後に見た奴の顔が、頭から離れない。


……そうやって君はいつも、あたしに隠し事ばっかりだ。



ーーガラッ



「うっわ誰……って真琴かぁ。猪かと思っちゃった。早かったね??」

「……、理彩、あたしは人間だからね、間違えないでね」


教室のドアを開けた瞬間に聞こえてきたひどい言葉に、曖昧に笑いかえす。


……だめだ。これ多分、うまく笑えてない。


その証拠に、理彩がぽかんと口を開けてこっちを見ていて、それがどうにも気まずくて、彼女の背中を思い切り叩いた。


「い"っ……!」

「なにその間抜けな顔!
待たせてごめん、ご飯食べよう」

「ちょっとこの馬鹿力ー!」

「暴力があんたの特権だと思ったら大間違いよ」

「私が普段暴力ばっかみたいな言い方やめてくれます??!」


理彩があたしの空気を察して普段通りに振舞ってくれたことで、少し心が軽くなる。


そのまま笑い合って席に座って、お弁当を開けた。