そうして自己完結して話そうと口を開くあたしよりも早く、理彩が告げる。
「今日は先にとられちゃったから。常連くんに」
「常連くん?」
じぃ、と視線が刺さって、思わず視線を逸らす。
……やっぱり自意識過剰じゃなかった、かも。
居ても立っても居られなくなって、新堂くんに「ま、まぁ、そういうこと…」とだけ言って弁当箱を持って廊下へと逃げる。
と、そこで八神くんにばったり出くわした。
「わっ…」
「っと、危な!ちゃんと前は見てくださいね、先輩〜」
「ご、ごめん」
一歩下がって、ぶつかった拍子に少し乱れた髪を整えながら視線を落とすあたしに、八神くんは「あ」と声を上げた。
「話って言ってもそんなに話すことでもないんで、弁当いらないですよ」
「あ、そう…?」
「はい。先輩次第で、早く終わるので」
「……………」
あたし次第で、とは。
「っていうか、それならここで話せばいいじゃない。早く終わるんでしょ?」
「『先輩次第で』です。
……大事な話なので」
どきりと胸が鳴る。
また、あの真剣な目。
「わ、かった……」
机に弁当箱を置いた時、理彩がひらひらと手を振る。
「帰ってきたら、一緒にお昼食べようねー」
「うん…」
どきどきと嫌な予感が収まらない心臓を落ち着かせるようにシャツを握る。
新堂くんとも、理彩とも目は合わせないまま。
あたしは八神くんと一緒に、教室を出た。



