なにそれ。

友達?

わたしは先輩のこと、友達って思わなきゃならないんですか?


「……恋しろって、言ったじゃないですか」

「…………」

「酷いですよ……、先輩」

「ごめん」


先輩は、ふざけてあんなことを言ったんですか?

ああいうこと、誰にでも言うんですか?

それで先輩に恋した子には……、そうやって突き放すようなこと言うんですか……。


遅いですよ。

だってわたしは、もう、先輩のことが……こんなにも……。


わたしの中、先輩への想いでいっぱいなのに……。


こんな気持ちになったのは、初めてなのに。


これは恋かもって。

これが恋かもって、思えたのに。


「先輩は、女の子を、なんだと思ってるんですか?」

「ごめん、茉帆ちゃん」


やめてください。

そんな悲しげな顔をして、謝らないで下さい。


冗談だよって、言って下さい。

悪い夢なら、はやく覚めて。

今すぐわたしを起こしてよ……!!


「僕、行くね」

「……!」

「菜帆に見つかったら、怒られそうだし」

「や、先輩、行かないで……」


「僕、菜帆と付き合ってた」


――!!


「それに、今でも好きなんだ。……菜帆のこと」