「出来上がり」

ブーケを作り終えると、スタスタと向かった場所。


そこは、花屋の店内の一角にあり、ガラス張りの小さな部屋。

その中に入り、どかっと腰掛けると、

「どうなの?高校は」

喫煙ルームをしっかり設けている花屋って…

あっちゃんの喫煙ルームからでも届く大きな声。


「どうって…普通だよ」

私も声を張り上げる。

私のつまらない返事に、不服そうな顔。

「彼氏は?できたのぉ?ま、椿の娘だもんねぇ、彼氏の一人や二人…」

あっちゃんの言葉に、思わずあっちゃん並みの大きな声が出た。


「え?ママそんなにモテたの?」

私の顔をにやにやしながらあっちゃんはタバコの煙を吐いた。


「モテたわよ?駅のホームで他校の男子に告白とかね…」

意味深な笑顔で笑ったら、

「で?どうなの?なずなは」

からかうような顔。


そんなあっちゃんの顔を横目で見ながら、


「だいたい、私はママに似てないし。そんな華やかな高校生活は残念ながら」

きっぱり言い切ると、

「はぁ?もったいない」

こ憎たらしい顔で煙を吐いた。