振り向くのは無理だった。

あんな声で呼んだら絶対バレてる。
盗み見してたこと。


それに
なぜか涙がとまらない。


なんであたし泣いてるんだろう。


『もうすぐ教えてあげる』


そう言ってたよね。

今日、あの人と会って付き合うからってことだよね。
そしたらもう水をあげる必要もないし。


あんな理由だったなんて。
高1で入学してから毎日ずっと水を上げてるんだよ。


ていうか馬鹿じゃん。
なにか植えればいい話じゃん。
そしたら咲きましたっていえばいいじゃん。


そんなに長くあの人のことが好きだったんだ。
そんなに想われてすごく羨ましかった。

...あたし。
いつの間にか、存在でかくなってたな。
菊地くんの。