「今日もやってるー!花咲か爺さん!」


周りの子達が話しながら笑ってる。


あたしもその声に花壇を見る。


毎日毎日。
ある花壇に水をやる。
環境委員の菊地くん。


「あそこなにもないのにねー」


そうクスクス笑う声。


そう、菊地くんが毎日水をやってる花壇。
あそこにはもうずっと何も植えられていない。

なのに毎日毎日水を上げ続ける。


いつの間にか彼には。
花咲か爺さん。

そんなあだ名がついていた。

普段の授業は寝てばかりなのに。
放課後のこの時間だけ
目が開いてるところをみるんじゃないかってぐらい。


彼は誰とも話さないから
声も聞いたことがない。
同じクラスなのに。


なんだかあたしは
そんな彼に少し興味が湧いた。