「…ヒロ、本当にすごかったね」




歩きながら、語りかける。


なんでもないふうに言ったけど、実は心臓はバクバクだ。




声が少し、震えた気がする。


緊張してるの、バレてないだろうか。




「特訓の成果が出たなー!よかったよかった」




ヒロはとても満足そうで。


相当嬉しかったんだろうな…




「…ふふ」


「カナ、ちゃんと見てたか?!」


「えっ…う、うん!ちゃんと見てたよ」








…ヒロのこと、ばっかり。








「そっか。じゃあ、よかった!」


「だって…ヒロに言われたから」








…言われなくても、きっと見てただろうけど。








「はは、そうだな!ありがとな」


「う、ううん」




急に、優しい声色になる。


…もっと緊張しちゃうから、やめてほしい。




「あのさあ」


「なに?」


「…応援、ちゃんと聞こえてたぞ」


「ほんと?よかった」


「…あのさあ」


「今度はなにー?」


「…いや、やっぱいい」


「ふーん」


「……あのさあ」


「もう!なに?」




何度も同じ口調で問いかけるヒロに、眉をひそめる。


きっとイタズラしてるんだろうと思って、横を向いたら。








「…へ」








少し頬を赤くさせて、照れ臭そうに口を尖らせているヒロがいた。