恋をする、その先に…


「…当たっているかは
 わかりませんが…」



ナツメもグラスを置くと
俯く父親に問い掛けた。



「娘さんの事…ですね?」



…と。


当たっていたのだろう。
父親は一瞬驚き顔を上げると
ナツメと目を合わせて
すぐにまた視線を落とした。



「娘は…
 何か言ってましたか?」


「…はい」


「思い出したんですね…」


「…はい」



ナツメは
聞かれた事に返事はしたが
どういう状況で
どんな状態で
ヒメが思い出したかは
言う事をしなかった。

あんなひどい思い出し方は
ヒメだけではなく
父親も苦しめる事になると
思ったからだ。



「最近
 あのコからの連絡で
 妙な胸騒ぎがしてね…
 何かあったのかと
 心配してしまいました…」


「父親ですから。
 心配するのは
 当たり前ですよ」


「あのコ…
 どこまで思い出したんでしょうか…」


「それは…」



正直、ナツメは答えられなかった。
たぶん“すべて”だと
そんな気もしていたが
ナツメが聞いたのは
所々の言葉だけ。

それも
惨い状況を…。

ヒメが今
他に何に苦しんでいるのか
1番知りたいのは
むしろナツメの方だった。