恋をする、その先に…


こんな時なのに…
いや、こんな時だからか。


キスを
してしまいそうな
そんな甘い空気が漂う。



まっすぐに
ヒメの目を見つめるナツメから
目を逸らせられない―――



――どうしてだろう…――



「大丈夫なら…
 良かった…」



頭の中がグルグルしている間に
ナツメはそれ以上何かをする事なく
ヒメの肩から手を放す。


助かったのか
残念だったのか…
変な気持ちだ。



「立てるか?」


「うん。平気…」



ナツメに支えてもらいながら
ゆっくりと立ち上がると
もうすでに外は雨が止み
雲の隙間から
光が差していた。


“ヒメの心にも
一筋の光が見えた“

まるで
そんな天気のよう―――




数日が経ち
天気は回復に向かっていったが
ヒメはまだ
完全に元気になったワケではなかった。


思い出し
泣けて流されたとは言え
そのトラウマが
どれだけ彼女を苦しめていたかは
計り知れない。


ナツメもその話題には一切触れず
いつものような日々に戻りつつあるが
時折見せるヒメの暗い表情が
ずっと気になっていた。

思い出した事による
新たな“自己嫌悪”との戦い。

自分を責め続けていた―――