泣き続けるヒメを
ナツメは黙って
ずっと抱きしめていた。
外が静かになり
会社内の電気が復旧。
薄暗かった室内が
すべての灯りが点いた頃
ヒメも少し回復。
「ありがとう…」
「落ち着いたか?」
「うん…」
「あんまり1人で抱えるな。
俺に何も出来ないとしても
今みたいに聞いてやれる。
泣きたい時は泣けばいい。
いつだって聞いてやる」
そんな事を言われてしまうと
胸に刺さってた鎖が
自然と外れていく。
ホッとさせてくれる。
安心出来る―――
「ごめん…
アタシのために」
困らせる事を言ってしまった。
過去の話なんて重すぎるのに
自分の傷を相手にまで
伝えてどうするのかと。
ただ重荷なのに―――
「謝るな。
俺に対して
申し訳ない気持ちになるな。
俺はお前が苦しむ方がツライから。
だから…
そんな涙を流すな…」
「社長…」
「神崎…
お前を
守りたい―――」
ヒメは一瞬驚いたが
ナツメはヒメから離れ
至近距離でお互い見つめ合った。
両手は
ヒメの肩から離れない。
どうしてか
“恐怖”以外の
ドキドキした感覚に
襲われる――


