恋をする、その先に…


何も出来ないと
理解していても
それでも
守ってあげたかった――



「頼むから…
 それ以上は
何も言わないでくれ…
そんなに自分を
追い込むな」



そっと抱きしめていたが
脱力に近いヒメの体は
少しの衝撃で倒れそうなほど
弱っていた。

そんな姿を見ていられなくなり
ナツメは
今度はグッと強めに力を入れ
あやすように彼女の心に訴えた。



「もう、大丈夫だから…
 我慢しなくていい。
 ずっと耐えてきたんだ。
 だからもう、力を抜け…」



ヒメの背中を摩りながら
何度も『大丈夫』と言い聞かせると
ヒメにようやく届き
現実に反応を示した。



「社長…
 あたし…」


「うん」


「あの時の事
 これからはもう
忘れないと、思う。
 すべて思い出してしまったから
 消えない…気がする」


「あぁ」


「それを背負って生きていく事に
 自信なんて、ないよ。
 どうしても
 2人を失った事
 自分のせいだと考えてしまう。
 失う痛みは…
 もうヤダよ」



流していた少しの涙が
すすり泣きへと変わり
まるで子供のように
号泣していた―――

ようやく“泣けた”
呪縛からの解放だった。