恋をする、その先に…


「スピードが出たままだったから
ぶつかった勢いが強くて
車と壁に挟まってた…
 原形もなくて
 残ったのは大量の血と
 腕と脚…」



まるでホラー映画のよう―――



「人間って…
 潰れるとあんな感じなんだって…
 目の前で
 思い知らされた」



想像を絶する内容を
単調に説明するヒメは
まるで
“この世に生きてる”感覚を
失っているかのよう。


見ていられなかった。



「お母さんはね
 お姉ちゃんが死んで
 数週間後に死んだんだ。
 大量の睡眠薬を飲んで
 家の中で首を吊って…」



“首を吊って”
そのフレーズに
“てるてる坊主”を思い出す。

あの時の震えは
ソレを見たため
記憶のどこかで
恐怖に感じていたからだと――


そんな小さな出来事ですら
ヒメは苦しめられて
生きて来たんだと
ナツメはひどくショックを受けた。


何も知らないとは言え
その時の、その瞬間の
残酷すぎる現実を
ずっと抱えていた事に
どうして誰も
気付いてあげられなかったのかと。



「…神崎」



一点を見つめ
見開いた目から
少しだけ涙を流すヒメに
ナツメはそっと
抱きしめた―――