恋をする、その先に…


「大丈夫か…?」



目を見開いたまま
立ちすくむヒメに近寄ると
彼女はペタンと
その場に座り込んだ。


その目には
たくさんの涙が流れていた―――


そして呟く――



「全部…
 思い出した――」



…と。



雷の音と暗闇が引き金で
心の闇まで
強引に引き出されてしまったのだ。


決して
こんな思い出し方を
望んでいたワケではないのに
キッカケは
あまりに惨い。



「あの日…お姉ちゃんは
アタシの目の前で
お母さんが運転する車に
引かれた…」


「え…」



瞬き1つせず
涙を流したまま
淡々と思い出した内容を口にしたが
引き出された過去は
あまりに深い闇だった。



「大学の卒業式。
 あの日もこんな雨だった。
 お姉ちゃんと雨宿りしていて
 お母さんが車をまわしてくれた時
 急に飛び出してきた子供を避けようとして
急ハンドルしたら
スリップして突っ込んで来た…。
 お姉ちゃんがすぐに気付いて
 アタシを庇ったんだ…
 だけど…」



「もう、いいから…」



その後の内容は
言わずとも
ナツメは理解出来た。

だから
それ以上は
言わせたくなかった。


それなのに
ヒメは止めない。