「あのなぁ。
神崎、それ以上は自身を責めんな。
謝るな。
少しは自分の心配しろ」
ナツメもまた
シキと同じ事を言って聞かせた。
「でもッ」
「俺も会社も大丈夫。
さすがに社長の息子がしでかした事だから
そんなにすぐには沈静化しないけど
会社を潰す事も
社員を路頭に迷わせる事もしねぇよ。
それは俺の責任として。
だから心配するな」
『大丈夫だから』と付け加え
いつもと何も変わらないナツメが
そこにはいた。
不思議と
ナツメの“社長”の言葉には
説得力と包容力があり
人に安心感を与える。
だから多くを聞かなくても
“大丈夫”とホッとする。
若くして社長になっただけある。
「だけど…」
言葉を言い掛けて
ナツメは少しだけ悲しそうな表情で
ヒメと目線を合わせた。
そして
思いがけない言葉を呟いた。
「悪かった…。
俺の秘書だから
危ない目に遭わせてしまって…」
「え…」
「巻き込んで
ごめんな…」
思わず、面食らってしまった。
普段、冷静沈着でクールなナツメが
今までそんなふうに
謝ってもらう事がなかったから。


