恋をする、その先に…


「テメェ…何言ってッ」


「やめろ、シキ」



今にも飛びかかりそうなシキを
抑えるように制止させたナツメ。

そんなナツメを無視して
言い返そうとしたが
ナツメの目を見た瞬間
抵抗するのをやめてしまった。


それは
ナツメの目が
完全に据わっていたから。

その表情で
“ブチ切れている”事を指していると
兄弟だから理解したのだ。



「ウチの秘書がいなくなった事
 何か、知っているんですね?
 東條スバルさん」



低く重たく冷たい声で
悟るようにスバルに問い掛けたナツメは
その場にいた誰もが
初めて見る彼の姿だった。



「…さぁ。
 僕は何も」



白(しら)を切るスバルに対して
声を荒げるでもなく
感情的になる事もなく
ナツメは彼に続ける。



「神崎は、大事な秘書です。
 “たかが秘書なんか”と
 言われる筋合いはないです。
 ウチの職員で誰1人
 無意味で無駄な人材はいない。
 もし、ウチの職員に何かあれば
 例え相手が社長の息子さんであっても
 容赦しないです。
 社員を守るのが私の役目ですので」



“さすが1企業の社長だ”と
東條社長は感心した様子。

そして同時に
ナツメの器の大きさと
肝が据わっている事にも驚いていた。