恋をする、その先に…


眠ってしまう前は
確かにエントランスのソファにいたはず。
なのに今いる場所は
明らかに違う。


薄暗い灯りの中
大きな樽や瓶が
大量に棚に収納されている。


ココはもしかしたら
ワイン倉庫なのだろう。

庫内は冷たく、ひんやりしており
ドレスのままでいるのには
あまりに寒すぎる。



(誰がこんな事ッ
 逃げなきゃッッ)



持っていたはずのバッグも見当たらず
連絡手段が絶った今
とにかく必死に声にならない声を発し
もがき続けた。


しかし
あまりに広い倉庫。
誰かに見つけてもらえそうもなく
無駄に動いただけ体力を消耗していく。



(ダメだ…
 頭も痛いし、また睡魔が…)



明らかにこの眠気は
“睡眠薬”
そう感じた。

確信も証拠もないけれど
たぶん
それを飲ませたのはスバル。

しかしなぜそんな事をしたのかは
理解出来なかった。

そして今
脱出方法も見いだせない。


(社長も副社長も
 気付いてくれるかな…)



『いなくなった事で
 たぶん心配している。
 あの2人なら見つけてくれる』

そう信じるしかなかった…。



(しっかりしなきゃ…
 毎回毎回
 2人に迷惑掛けちゃう…)



頭ではわかっているのに
どうする事も出来ずに
ただただ悔しい思いでいっぱいだった。