恋をする、その先に…


「スバル…さん?」



目を逸らしてはいけないような
“恐怖”を彼から感じた。

スバルの中で
静かに大きく“怒り”へと
変化している瞬間でもあったのだ。



「新藤社長はスゴイ人だ。
 そんな事はわかっているよ。
 じゃぁ僕にどうしろと言うんだ…」



目は一点を見つめたまま
独り言なのか
まるで呪文のように
同じ言葉を繰り返す。


きっと彼の中で
いろんな感情と葛藤があるんだと
ヒメはその思いを
黙って聞いている事しか出来なかった―――



ほんの数分
そんな状態が続いていると
スバルは我に返り
また最初のような笑顔を
ヒメに向けた。



「新藤社長が心配しているかもしれません。
 戻りましょうか」


「はい」



スバルが持ってきたグラスが空になり
話の区切りを意味したところで
室内に戻ろうと立ち上がった。


・・・が。

ヒメは
自身の、ある異変に気付いた。



(え…何、この睡魔…)



酒を飲んだとは言え
酔った眠気とは違う
立っている事すら危うい
激しい睡魔に襲われていた。



「神崎さん?
 どうしました?
 大丈夫ですか?」



フラフラしているヒメに
スバルも気付いたらしく
体を支えてくれた。