恋をする、その先に…


「さっきは…
 恥ずかしいところを
 見られてしまったよね」


「え…?」


「…父さんが言っていた事」



スバルが発した
“父親の発言”が
社長の先ほどの言葉だと
すぐに理解した。



「僕は
 父さんの期待に応えられるような
 立派な社長にはなれない。
 父さんにとって
 僕は期待外れの息子なんだよ」


「そんな事ッ」



“絶対違う”
そう否定したかったが
今日が初対面のヒメが
何も知らない東條家の事情に
首を突っ込んでいいのか
そんな差し出がましい事をしていいのか
考えて口を噤んでしまった。



「誰に言われなくても
 自分自身が1番よくわかっている。
 それでも…
 新藤社長の前で言われるのは
 なんか…ね」



ナツメとは年齢が同じなのに
地位と立場が違うから
自分の出来の悪さを
ナツメどころか他の人にまで
公開された形になってしまった。
それがスバルはとても
悔しかったのだ。



「でも…
新藤社長が言っていたみたいに
ミンナそれぞれなので
スバルさんも
自身の人生を生きてみても
いいのでは…」


「キミ達に何がわかるの」



ヒメが言い終わる前に
スバルが途中で言葉を遮った。

その彼の目は
先ほどとは違い
完全に据わっていた。