恋をする、その先に…


「会えて光栄です。
 私なんて、まだまだです。
東條社長のほうがご立派です。
尊敬しています」



そう言いながら
ナツメはスバルと
名刺の交換をした。


名刺を受け取る姿も
ナツメの話を聞く姿も
礼儀正しいスバルに
ナツメ達は好印象だった。



「確かスバルは新藤社長と
 年齢が同じだったかと思ったが」


「え、そうなんですか?」



東條社長の発した事実に
ナツメもヒメも
少しだけ驚いた。


それもそのはず。
スバルは童顔だからか
見た目は20代前半に見えたから。



「同い年で新藤社長は
会社のトップなんだから
 スバルにもしっかりと
 頑張ってもらわないとだ。
 今のままでは社長の器ではない」



他人と息子の前で
余計な一言とも思える発言で
バッサリ切り捨てた東條社長に
その場にいた誰もが
言葉を失った。



“凍り付く”とは
こういう事なんだろう。


スバル自身も
まさか公でそんな事を言われるとは
思ってもみなかっただけに
表情は一気に曇り
一切、口を開かず
返事すら出来ない様子だった。


なんとかこの状況から
打破する方法はないかと
ヒメも頭をフル回転するも
そもそも場違いの環境の中なので
自分の立ち位置からでは
何も言えない事に気付き
口を挟めなかった。