「ってかさ、なんでみんな知ってたんだろうな。
心優のこと。」


「まぁ誰かから聞いたんでしょうね。
私はずっと聖凛だから聖凛にしか友達はいなかったけど、
でも昨日会った美奈子みたいに途中から聖凛に来た子がこの学校に友達がいたっておかしくはないわけだし。」


「あー、なるほどなー。
それこそ、昨日の美奈子って子が言ったのかもなー」


「まぁそんなことはどうでもいいじゃん。
本当のことなんだし、私って元々ここに友達とかいないからダメージとかないし。
智樹と大翔がいてくれたら、私はそれだけで十分だよ。」


そういって、心優はすげー優しく俺に笑いかけた。

なんつーか…今日の心優は優しくて、いつもとは違う笑顔を俺に向ける。


そんな可愛い心優を見てしまった俺は、ついに肝心なことに気づいてしまった。

なんとも単純だけど、肝心なことに気づいてしまった。


…なんでだろうな。
元カノのことで恋愛なんて懲り懲りだったのに
恋愛の苦さを十分味わったつもりだったのに

……不思議だよな。


何で俺はまた恋というものに落ちてしまったんだろう。


「……だったらさ
ずっと、俺の彼女でいろよな。」


「はは、それは私のセリフでしょ。」


こんな無邪気な笑顔、見れる日がこんな早く来るなんてな。


「あ、もうこんな時間。
美術室寄るならそろそろ行かないと。」


「…あー、そうだな。行くか。」


ということで、片付けてあった弁当をお互いに持って、もう片方の空いてる手で、心優の手を握ったみた。


「え、ちょ「俺、彼氏だし?」


触らない、キスしない、エッチもしない

それが俺らの条件だったけど、心優は俺が手を握ったことにもうこれ以上なにも言わなかった。
…それどころか、ちゃんと握り返してくれていた。


「戻るか。」


「……うん。」


やべー、なんかめっちゃ満たされる。
めっちゃ満たされてる。


気持ち悪いくらい、俺はまた恋に落ちていく