「はい、じゃあ宿題集めるよ~。
5分以内に出して、名簿に丸つけて。
さっさとしてくれよー。」
俺はさっさと教壇にたち、みんなに声をかけた。
こんなこと、グダグダやってられない。
さっさと終わらせて帰りたい。
とりあえず俺も宿題を出して、智樹に半分持たせて教室を出ることにした。
「…仁科も来いよ。」
さすがだ、と言いたくなるほど早く集まった宿題たちを智樹と持って、仁科も連れて俺らは英語準備室へと向かった。
クラスと同じ階の、担任の縄張り。
「ちょいドア開けて。」
そういうと、仁科は大人しくノックをしてドアを開けてくれた。
「先生~、置いてくよー。」
「おう、そこ置いといて~。」
手前のテーブルにクラス全員のノートを置いて、さっさと準備室を出た。
「じゃあ俺バイトあるし、あとは智樹に頼んだ。」
「は!?ちょ、待て!」
帰ろうと背を向けたのに、智樹にがっつり腕を掴まれた。
「なんだよ。」
「二人っきりにすんなよ!緊張すんじゃん!」
そう小声で話す智樹に
「……はぁ?」
俺は心底あきれた。
「大翔、バイトどうせ夕方からじゃん!
急いで帰んなよ!」
…ったく、めんどくせーな。
「わかったよ。
じゃあさっさと行くか。
つっても私立ほど複雑でもなんでもないけど。」
元々俺が頼まれたことだから智樹に押し付けることもできず、俺は仁科を連れて一階まで降りることにした。
「ちなみにさっきのところは英語準備室。
担任は英語教師で、テニス部顧問だから担任はいつもあそこにいる。
まぁもう知ってるか、これから知るかは知らねーけど、電話すりゃ大抵出るから。」
連絡網なんてものはなく、連絡事項はすべてクラスのグループラインで飛ばされてくる。
だから全員が担任の連絡先を知ってる。
そういう時代だよな。


