「か…かわいー!」


それを見た後ろの男はヒートアップした。


「河合は少しは黙れ。座れ。
えー、聖凛女学院から編入してきた仁科心優さんだ。」


「大翔、大翔!
ちょーかわいいじゃん!」


……つまんねーの。


「俺はタイプじゃねぇ。」


"かわいい"

そんな言葉が似合わないくらい、あいつはきれいな顔立ちをしていた。
キリッとした目に、スッとした眉、鼻立ち。

伸ばされた前髪を流し、傷んでいないさらっとした髪の毛。


美人とは、こういうやつのことを言うんだろうな。


「え、大翔ってああいうの好きじゃねーの?」


「好きじゃねーな。」


ああいう、まっすぐで力強くて、隙のない目をした女は嫌いだ。
女は隙があって、弱そうなやつが可愛いってもんなんだよ。


「席はあの騒いでるやつの隣な。
うるせーけど、面倒見はいいやつだから。」


担任がそういうと、仁科は担任に少し頭を下げてこちらへ歩いてきて
顔が緩みっぱなしの智樹にも少し頭を下げて、席についた。


「それから七瀬~。
仁科に学校を案内してやって。
俺は部活があるし、明日から授業あるから今日中に頼むわ。」


「は?俺?なんで俺?」


「補習、サボったもんな?
嫌とは言わないよな?」


……クソか。教師の仕事じゃねーのかよ。
案内くらいしとけよ。


「……はいはい、わかりましたよ。」


ま、智樹にでも頼んで俺は帰ればいいや。