「…でもさ、どうして嘘の笑顔だって思ったの?
小学生なのに。」


「ま、俺がくそ生意気なガキだったからだけど
"一人の方が好き"ってのは、一人のやつが使う言葉じゃねぇと俺は思うんだよ。
友達がたくさんいて、もちろん友達と遊んでるときも楽しい。だけど俺は一人の時間も好き、ってのならわかるんだけど。
本当は誰かに必要にされたいくせに、勇気がないからそう言うんだよ。
ただ素直じゃないだけ、ただの強がりって思うんだよな。
……心優にもな。」


「あ、そ」


友達と遊ぶ時間を知らないとは言わない。
それでも、俺らとの時間を知らないやつが、俺らに一人の方が好きなんて言われるのは嫌だった。
腹が立った。

俺らのことをなにも知らないくせに、否定されたかのように思えてくる。


「ま、なんだかんだ俺らといることを選んだってことは
やっぱ心優も寂しかっただけなんだよなー」


「調子乗らないで。
二人揃ってしつこすぎるから仕方なくなんだから。」


「そのくせ、名前で呼んでくれるしな?」


「その顔が憎たらしくて本当に腸煮えくり返りそう」


智樹の時とはまた違うけど、でも俺はやっぱり
こいつが涙を流すくらい、笑っているところが見てみたい。

可憐さなんていらない。

ただ素直に、生きているところを見てみたい。
他の女子たちと変わらないくらい、くだらないことで笑っているところを
見てみたいんだ。俺が、誰よりも近いところで。