そして夕飯を食ったあと、台風が激しすぎて停電になると言うハプニングが起こったけど…

俺はいつの間にか寝落ち。
起きたらすでに仁科…じゃなくて、心優の姿はなかった。


"一応、お邪魔しました。
ご飯もごちそうさまでした。
心優"


その書き置きだけがポツンと置かれていて、雨戸を開けると気持ちいいくらいの晴天で
俺の心もスッキリとしていた。



━━━そして、月曜日。


「はよ、大翔。やけに早くね?」


「おう、智樹。おせーよ。」


俺は智樹をいつもより早く学校に来いと命じた。
いつもは8時すぎに到着する俺が、7時45分には教室にいる現実が驚きだ。


「これでも急いだっつーの。
で、なに?驚かせたいことって。」


「ま、待ってろよ。」


あー、にしても眠いわ。
昨日も夜までバイトだったしな。


「あ、そうだ。
先に購買行って、予約してこねー?
俺今日弁当ないんだよね。」


「わり。俺は弁当だわ。」


「は?え、大翔朝から作ったわけ?
大翔が?」


「わりーかよ。」


「いや、別に悪くはねーけど。」


ま、俺も人のこと散々言っといて、あんま自分の人生に真剣じゃなかったしな。

遅刻魔なとこ、直してやろーじゃん。


「あ、仁科ちゃん来た。
今日も安定な可愛さだな。」


「……あれがぁ?」


「大翔は好みがおかしいからな。」


今日も絶好調に前だけを向き、どこかここにいるやつらを見下したような視線でこの教室に入ってきた俺のクラスの転校生。
今日も安定の無口ぶり、だけど


「おはよ!仁科ちゃん!」


そんな転校生に、今日も智樹は元気に声をかけた。
……けど、それに対しての返事は、いつものことながら…


「……おはよ」


……お?


「え……しゃ、喋った!!」


まさかのお返事。
智樹の挨拶に、心優は返事をした。


「…これで満足?」


かとおもえば、いつもの見下した顔で、俺にそういった。


「そうだな。」


つまり、こいつは俺と友達になる、と。
俺と智樹の友達になることを選んだみたい。


「え!なに!?二人なんかあったわけ!?」


「うるせーよ、智樹。」


「少しは静かにしてて。」


「うぇー!二人して俺をせめんな!!」