たったそれだけを言って顔を離して心優の顔を見ると

大きな瞳には水が溜まり、そして軽く赤くなっちゃってて
つやつやな頬もピンクに染まっていた。


「……心優は?俺の事まだ好き?」


すっごい優しくそう聞くと心優の顔はみるみる赤く変化し、その結末は俺の胸の中に埋められて見ることはできなかった。

……でも、


「…当たり前じゃん。
悔しいくらい、本当に自分が腹立たしいくらい、ずっと大翔の事が好きだった。
大翔に会いたくて会いたくて仕方なかったよ。」


俺だけに向けられたその言葉
俺だけに聞かせる甘い声

今の俺にはそれだけでも十分だよ。


「…やっと、だな。
やっと正真正銘、俺の彼女。」


俺の中にうずくまる心優の頭をポンポンのすれば、心優は俺の中でうんうんと頷いた。

もうそれだけでも愛しくてたまらないのに


「……ほら、顔あげろよ。」


やっぱり顔が見たくなっちゃった俺は心優の顎を持ち上げて顔をこちらに向かせた。


「はは、真っ赤。」


「う、うるさいよ!」


やっと見れた心優の顔はまた俺の中へと逆戻りして見えなくなったけど


「でも、なんか明日いいことありそうだわ。」


彼女を赤く染めるのはきっと俺だけだから。
俺だけが見れるその色は明日の俺を幸せにする。

それだけで十分だ。


「……言っとくけど、大翔だって顔赤いからね。」


「うわっ!まじかよ」


「……でも、明日いいことある気がする。」


そうやってちょっと嬉しそうに言う彼女。
きっと俺の顔を赤く染めるのも彼女だけだから


「じゃあ、明日はいい1日になるな。」


それはそれで悪くないかもしれない。