街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー




そんなくだらねぇ会話をしつつ、トーストを食いつくすと

キィ…っと、劣化したドアが音をたてて開いた。


「えっ…」


いつもなら笑顔でいらっしゃい、なんていう大智すら、顔を固めて動かなかった。


「よっ」


「おはよ、大翔。
……大智も。」


「えっ…、あ、あぁ…おはよう」


……なんだそれ。戸惑いすぎじゃね?
ずっと会ってなかったならわかるけどさ。お前ら前に公園で会ってたじゃん。
まぁあれからずいぶん日はたってるけどさ。そんな驚くことか?


「ん、なんか飲む?」


俺が隣の椅子を引けば、心優はその席に向かってきた。


「そうだね。じゃあ温かいミルクティ。」


「あ、かしこまりました…」


今日はまだ笑顔は見せない。
だけど変わらない心優は平然とした態度で大智にそう言った。


「ここのミルクティ、飲みたかったんだろ?」


「……まぁ、ミルクティに限ったことじゃないけど」


「でも、これでまたここに通えるんじゃね?」


俺が笑顔でそういうと、心優は真顔で俺を見つめて固まった。

俺、なんか変なこと言ったか?