街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー




「━━よしっ」


翌日、心優との約束の時間まで大分早いけど、俺は家を出た。

だから7時オープンなあの喫茶店に7時半にはついて、今日は気合いをいれてそのドアを開けた。


「あ、いらっしゃい~。」


「よっ。」


心優が海外へ旅立ってから、俺はこの喫茶店へ通うようになり、
結局ここで唯一の正社員と言うものになった大智ともすっかり顔馴染みだ。

……ってか喫茶店に正社員というシステムがあったことにも驚き。
まぁあのママさんと大智しかいないんだけども。


「ずいぶん早いね?仕事前?」


「いや、仕事前ならもっと早く出勤してるし。
今日は半休もらってんだよ。昨日智樹の結婚式だったから酔いつぶれる予定で。」


「あー、そっか。なるほどね。
いつものでいい?」


「あぁ、うん。」


いつもの席で、いつものミルクティ。
こいつのミルクティは神がかってるから。


「ん、お待たせ~。」


んで、今日はトースト付きらしい。
ま、朝だしな。


「サンキュ。腹減ってたんだよ~。」


「大翔いつもじゃん。」


大智にそんなことを言われつつ、すぐにトーストに喰らいつく。
こういうシンプルなのがなんだかんだうまくて好きだ。


「もっとゆっくり食べたら?」


「んー、でも今日待ち合わせでさ。
そいつきたら出ようかと思って。大智いるし。」


「え、それ俺が邪魔だって言いたい?」


「いやいや、それ以外ないだろ?」


「……ほんっとひどいよね、大翔って。」


「誉め言葉と受け止めておこう。」