━━高校2年、初秋


「あ、大翔(だいと)!はよ!」


「おう、おっはー。」


夏休みも終わり、今日から新学期。
この面白味もない南高に、また今日から毎日通うと思うと今からうんざりする。


「なぁ!聞いたか!?
このクラスに転校生が来るらしい!」


「転校生?この時期に?
……智樹(ともき)が言うくらいじゃ女っつーことか。」


「そう!女!どんなやつかめっちゃ楽しみ~!」


学校の階段をそう大騒ぎする智樹と一緒に登り、くそ暑い教室へと到着する。

本当にこの瞬間、私立がよかったと心の底から思う。
なんでエアコン完備じゃねーんだよ。


「で?どんな女かはわかんねーんだ?」


「聖凛女学院出身ってことだけー。」


ふぅん、聖女な。
お嬢様じゃねーかよ。

……なのにこんな公立に転校?
なんだそれ。よっぽど勉強ができねーか、問題を起こしたか、か?


「…なんかろくなやつ来なそうだな~。」


「でも聖女の子とお近づきになれるかもじゃん!」


「あー、まぁな?」