「…なにその、前の私を知っているかのような発言。」


「今日聞いたんだよ、聖凛の子に。
勝手に詮索したのは謝るけど、お前聖凛にいた頃は優しくて礼儀正しくて可憐で、友達がたくさんいたんだろ?
なんでこっちではそうできねーんだよ。

そりゃ聖凛のお嬢様たちとは違って?バカなやつが多いしレベルは低いかも知れねーけど
でも、仁科だって今は南高の生徒なんだよ。」


……あー俺なにいってんだろ。
別にこいつに友達ができなくても俺には関係ねーのに。

なんで俺、ずっとこいつにイライラしてんだろ。


「……なにを聞いたの?
どこまで聞いてきたの?」

あれ。なんかこいつ…目力弱まった?というか…
なんでこんな不安そうな…


「え、なにって…聖凛にいた頃の仁科がどんなんだったか。
本当は、お前が変わった理由とか知りたかったけどそこまでは教えてもらえなくてな。」


「……そ。」


かと思ったら今度は安堵の表情をした。

こいつ、こんな顔もするんだな。


「まぁでもお前が喋れるんなら、お前から聞けばいい話なんだけど。」


「……私が転校してきた理由を?」


「そう。
気にしてるやつも多い。ただでさえ注目浴びてんだからな。」


美人で、なにも語らないお前がな。


「じゃあ教えてあげるから、もう二度と私に関わらないで。」


仁科はそういって、ブランコから降りて立ち上がり、俺の目を鋭く突くように見た。


「私…人殺しだから。」